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「道しるべ」

「手を繋いで帰ろう」

赤く燃える空が広がり、冷たい風がふく季節になってきた。
1人寂しく家路につく。
ときおり自分の歩く影を踏みつけ、石ころを蹴りとばしながら歩く。
家は村の外れにあるのでもう少しかかるだろう。
眼下に広がる赤く染まった草原を眺めていると、ポツリと人影があった。
草が心地よい音を奏でる中、微かに聞こてきた音を聞き取った。
俺は迷わずに草原に飛び込んだ。
自分の背丈以上ある草をかき分けて人影があるであろう場所へと急ぐ。
空は紫がかってきた。
早くしないと暗くなってあたりが見えなくなってしまう。
そう、次に草をかき分けた時、人影があった。
長い黒髪が草と一緒になびいている、俺と同じくらいの背丈の女の子がいた。
俺は一呼吸おいて女の子に話しかける。
「早くしないと、日がくれちゃうよ」
女の子は後ろを向いていて、返事はない。
でも、俺はほっておけない。
俺はもう一度話しかけようとしたが、鈴のような美しい声が俺の声をかき消した。
「あなたも、あなたも同じよ」
掠れた声で吐き捨てた。
あまりよく見えないが、女の子には所々青あざがある。
俺はそれで全て理解した。
俺は吐きでそうな言葉を飲み込み、ゆっくりと、なるべく優しく返答する。
「どうして?」
「あなたもどうせ、そうだからよ」
「それじゃあ理由になってないよ」
「あなたも皆と同じよ!!」
俺は、まだ会ってまもない女の子の手を強く握った。
「違うよ」
「俺は違うよ」
俺は一呼吸おく。
「手を繋いで帰ろう」

その一言で、女の子はこちらを振り向く。
女の子の目は黒くて、暗闇でもわかるほど涙ぐんでいた。
「泣いてもいいんだよ、今君は一人じゃないだもの」
女の子は大きな黒い瞳から大きな涙をポロポロと流して、下をむいた。
「うん」
そう、嗚咽まじりの声で頷いた。






「今度やられたら俺に言ってよ!そいつらドーンっとぶっ飛ばしてやるからさ」
「ふふっありがとう、でももう大丈夫、私なんだか勇気がでたわ」
「ねぇ、あなた名前なんて言うの?」
「俺はバーナー!よろしくな!」
「よろしくって…」
「え?だってもう友達だろ?」
「……私は零よ、よろしくバーナー」

手を繋いで帰ろう。
2人一緒ならなんだって、どこだって怖くない。
手を強く握ったら、大きく振ろう、そうすればなんだって吹き飛ばせる。

手を繋いで帰ろう。
そうすれば、あいつが道を教えてくれるから。